ピンポーン・・・



ワタシの心情とは反して軽やかな音楽が鳴り響く。

五月蝿い、放っておいて。





しばらくしてから、もう一度。





ピンポーン・・・










誰が来てるのか分からないけど、新聞だったらお断り。
ワタシは読売一本でとおってんのよ。別に勧誘も必要ないわ、間に合っているのよ。
しーんと静まりかえってワタシは少しだけほっとした。




安堵したのと束の間、ドアの外にいる人物は雰囲気を消さずに口を開く。



















「・・・・・・・・・・・・・・・?」






恐怖で私は瞳を一杯に開けた。
なんであの人がここにいるんだ。

身体がカタカタと痙攣を起こす。
真冬でもないのに震えが止まらないのがおかしかった。



どんな表情なのか、手に取るように分かってしまう。


首をかしげて、不思議そうにドアの中を見ようとしている。







「・・・・・・・・いるんだ・・ね。」



確認して、瞳がいっそう険しさを帯びた。
分かっているのよ、あんたが考えている事ぐらい。




「開けて?」




無視無視無視。



別にまにうけるこたぁないわ。
居留守を使えば良いんだから。















「・・・・・・・・居留守をつかうつもりなわけ。」



あんたがどんな行動をしようが、絶対開けてやんないんだから。
別に不二が嫌いな訳じゃない。
だって付き合っていたんだものね。

嫌いなわけない。

のめりこんでしまう自分が恐い。



見透かされたうような瞳に見つめられるのがとても恐怖する。




ワタシの全てを





見られているようで。







情緒不安定なワタシは




吹っ切れることも出来ないワタシ




勇気も、感情も、悦びさえ




失ってしまったワタシには







不二はきっと失望する。











ワタシはそれをとても恐怖する。






















「・・・・・・・・・・・ねぇ、なんでずっと電話は通話中なわけ?」

だってアンタの声を聞きたくないから。

「学校も休みだし。」

だってアンタの顔を見たくないから。

「みんな心配してるよ?」

嘘ばっかり。ワタシのことを心配するヤツなんて誰もいない。

「・・・・・・・・・・・・・・・開けて?」

開けるもんか。


































ドアの外の空気が一気に冷えた。

ワタシはそれに恐怖する。




こういう時の不二は        ヤ バ イ







「・・・・・・・・・・そぅ、あくまで僕と話したくないわけね。」

当然でしょ。だから居留守使ってんじゃん。それぐらい分かれ、ばーか。

「さっき、やっと携帯に繋がったから分かったけど、ここにいるのは知ってるんだよ?」

分かってるんだったら帰ってよ。

「・・・・・・・・・・・・・・最後にもう一回だけチャンスをあげる。」

いらんわ、そんなもん。ノシをつけて返してやる。










「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そぅ、君の思ってる事はよーぅくわかったよ。」









ぞくぅ。
ドア二個分の壁があるはずなのに、ワタシの背筋に凍りが走った。











チキチキチキ・・・


なんの音?






















「・・・・・・・・・・・君と話せないんじゃ・・・もう死ぬしかっっ・・・!!!」

















ぇえー―――――――――――――――――!!!!?????






あれはカッターの出す音かっっ!!!!!!



ちょぉまちぃや!!!(何故か関西弁)

ワタシは思わず耳から手を外して鼓膜の通りを良くした。
聞こえないようにしていたはずなのに、しっかりはっきり声は聞こえた。

急いで振り返ると片手を支えにして立ちあがる。
今までにない走りを見せる。これならオリンピック出場間違いなしだろう(それは無理)




ドアを一度開いて玄関へと向かう。
どうしよう、開けたら血まみれだったら。

血の海だったら。










・・・・・・・・・・・・・・恐すぎる。泣。




ありえる光景を想像してしまったワタシは更に恐怖した。



しかも
















手はヤバイ。














テニスが出来なくなっちゃうじゃん。



不二の馬鹿やろう。ちょっとは自分のこと考えやがれ。
どのぐらいチームに必要とされてるのかわかってんのか!?

六角中とやるんでしょ!?
そしたら英二はどうなるの!?

あんたのパートナーだってメールしてくれたじゃん!!












ワタシはそのメールでさえ無視して返さなかったけれど。























チェーンをはずして、鍵をはずした。

















ガチャ・・・

嫌な予想を振り払うかのようにワタシは扉を開ける。























がしゃぁ!!




「―――――――――――――っっ!!!!」



大きな金属音と共に小さな隙間から細い指がすべりこんできた。
ワタシは瞬間的に扉を閉めようとする。



「・・・・・・・・・・・・やっと開けたね・・・?」


小さな隙間がどんどん大きくさせられて、不二の顔半分が見えた。
茶色の瞳は燃えるような赤色に見えて。怒りの業火が焼きつけられている。
口元をかたどるのは、三日月。
悪魔かというぐらいの絶世の微笑がワタシを襲った。


「・・・・・・・・・・・・(こっ・・・こわい・・・!!)」

思えば私も馬鹿だ。
こんな子供だましにひっかかってしまうだなんて。
嗚呼、ホントに馬鹿としか良いようがない。


ぐ・・・ぐ・・・と、力を入れられてワタシの腕の筋肉は悲鳴をあげる。
毎日鍛えてる不二の力に、女のワタシが敵うわけないと分かってはいても。














今の不二を前に抵抗する気になれない方がおかしい。








































++++++

++++++










++
















「・・・・・・・・で?一体全体どういうこと?」


今、ワタシの目の前にはめらごっつ不機嫌な顔の不二がいる。
綺麗な眉を嫌そうに潜めて、ベットを背中の支えにしている。

ワタシは何故か恐縮して不二の前で正座をさせられている。





「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「話せないの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

お願いだから、帰ってくれよ。
好きな人には醜い姿を見せたくない。
しかも騙すなんて卑怯極まりないじゃないか。
ワタシは心配したのに。

不二はいつもは細めで目を開けてるんだかそうでないんだかわかりゃーしない瞳をすぅと開けている。茶の瞳がワタシを射る。

「騙したこと怒ってるの?」

当然。

「君の事だもの。ああいえば開けてくれるって分かってたよ。」

今は微笑みはない。
微笑みさえも作れないほど怒っているのか。
こんなとき、いつも不二はにっこり笑って嫌味たっぷりに言うのに。

「・・・・・・・・・・・・・・・・声が・・・聞きたいな。」

沈んだ声になんか騙されたりしない。
コイツはいっつもこうなんだから。
だけど、ワタシは促されたように顔を上げた。
恐る恐る不二をみると、案の定怒ってる不二の瞳とぶつかった。

怒ってる・・・メラ激怒ってるよ!!!

沈んでなんかいなかった。
なんだかしらないけど凄く怒る。




「・・・・・・・・・・・まぁ、僕としては無理やり声を出させても良いんだけどさ(ぽつり)折角慈悲を与えてあげてるのに。」

「・・・・・・・・・・ナニソレッ!!!!」

「やっと声を聞けた(にっこり)」

恐ろしいまでの笑顔で不二は笑った。
久しぶりに見た不二の笑顔は恐い事極まりない。




これから尋問が始まる事間違いなしだ。



それか









「・・・・・・・・・・・・・・・(くっ・・喰われるっっ!!!)」

「やだなぁ、。いくらなんでもそこまでしないよぉ。」

「(人の心読んでるし!!!)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・例え、僕がはらわた煮えくりかえるぐらい怒ってて、電話も繋がらないし、メールも返さないし、ぜんっぜん連絡くれなくて、訳一ヶ月ぐらいおあずけくらってて、「こいつ、いっぺん犯してやろーか。」とか思ったりしたとしても・・・ね。」

「(ひぃ!!!!)」


身の危険を感じたワタシは酷く怯えた。
これこそまさに、狐に食べられる寸前の兎だ。兎そのものだ。
笑っているが、目は決して笑っていない。
むしろその微笑が恐ろしい。




「・・・・・・・・・・・ごめん。」

「謝っただけじゃ許さないよ。」

「えぇ!!??」

「だって僕、ちゃんとチャンスをあげたじゃない?それを無下に蹴ったのはだし。」

笑顔は消えている。
絶対零℃の瞳だけがそこにあった。

こえぇ。マジで恐い。




「ま、いっか(にっこり)」

「(なにが!?)」


すっくと片足をたてて不二は立つと、ワタシのほうへ歩を進めた。
思わず身体が震えて後退する。

「逃げないでよ。酷い事しないから。」

「・・・・・・・・・・・っ・・・・。」

「僕は寛容だから、ちょっとやそっとじゃ許したりしないしvv」

「(許さないんじゃん!!!)」

ノリ突込みを入れてしまうワタシ。
駄目だ、きっと逃げられない。

逃げる術を失ったワタシは顔が青くなるのを感じていた。



不二の手がゆっくりとワタシの方へと伸びる。
その手がワタシの手首をつかんで立ちあがらせた。
手が、冷たく感じる。
ひやりとした感触に    恐怖  した。


おもいっきり力をこめた腕は、ワタシをベットの上に倒させた。
どさりとほこりが舞う。
一ヶ月間、ベットの上でなんか寝てなかった。








忍び寄る闇を恐れて、誰かに恐れて


体育座りで身体を縮めて


そうして


心ひそかに泣いていたから。



「・・・・・けほ・・・凄いほこり。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・悪かったわね。」

「あ、二度目に声聞いた。」

目を薄く開いて不二は嗤う。

「いいか・・・事を済ますのに埃は障害じゃぁないしね。」

ひんやりと氷を包んだような微笑。
身体が硬直する。





ぎしりとベットのスプリントが軋んだ。
くそぅ、これじゃぁぎしぎし鳴って嫌だなぁ。
不二はそれさえも楽しんでしまうのはよく知っている。
汗で綺麗な肌が濡れて、そうして、不敵に嗤う。

ワタシの上にかぶさるようにすると、ワタシの頭を包み込むかのように腕を置いた。
瞳が交わる。

ワタシは捕らわれる。



「・・・・・・・・・・・・・言い訳なんて言う暇は与えない。ベットの中でゆっくり・・・聞いてあげる。」





口元は微笑みをかたどったまま、不二はワタシに口付けた。



























ドアを開けてしまうのがまず間違いだった。
この男に油断も隙もなかったのに。
だからワタシはそれ以上に油断してはならなかったのに。

くそぅ、腹が立つ事甚だしい。





こんな事になるんだったら、「その時」が来ても我慢して学校にいけば良かった。


情緒不安定なワタシを見せたくなくて、たんなる心の病気だってのに。
何ヶ月かごとにやってくるサイクルに



不二に気付かれる前に。







心の病が広がる間もなく、ワタシを一人にしてくれる事さえしないで。


そして奴はワタシを求める。







テニスで忙しい中、時間が作られたと同時に唇を重ねた。
そんなせっぱつまった状況で求められる。






身体だけだとは思いたくない。




細い腕がワタシの頬ほかすめる。
汗が下を向いているからワタシの肌にぽたぽた落ちる。
肌を滑る水滴がくすぐったい。


ヤってるときでさえ、ワタシは心が病んでいる。
それを知っていながらも、不二はワタシを求める。


求めた後に、優しく抱き締めてキスをするから。

だから、ワタシは安堵の息を漏らす。










茶の瞳が楽しげに揺れて、熱い息がはかれる。
シャワーを浴びてもいないのに、髪の毛はさらさらで、何故か良い匂いがするのよね。



不二の匂いは好きだよ。









ワタシを安心させてくれるから。










悩んで、闇に飲まれる事さえあなたは許さない。
















“・・・いつでも・・・君の中を僕で一杯にして・・?”













そう言って子供のように我侭を言うのだ。




天才と言われる中で求められて苦しんでいるのかもしれない。
いつもやんわり笑う笑顔の裏には悲しみと涙があるのかもしれない。



それを癒せるのは








こんなことだけ・・・?

































快楽のなかに身をうずめると、
ワタシは熱い吐息を吐いた。
ソレを飲みこむかのように不二は唇を重ねる。

お互いの目と目が触れ合う。

乱れた前髪から覗く茶の瞳は、今は優しさに変わっていて。
微笑みも、今は柔らかい。
声は吐息と悶える声だけだというのに。

まだ言い訳も理由もなにも話していないのに。







全て分かってしまったのかのように不二は笑った。

































手を一杯に伸ばして顔をはさみこむようにした。
頬にワタシの手の平が触れる。
湿った肌がワタシを濡らす。

水気を帯びた髪の毛が指にからんだ。



「・・・・・・・・・・・・・ワタシは・・・何をしてあげる?」


不安に駆られて言ったら、不二は一瞬呆けた顔をして、だけどすぐに笑った。


「何も。側にいてくれるだけでいいよ。」

片方の手がワタシ手の甲にあてられる。

「こんなワタシなのに…?」

「こんな君だから。」


今度はワタシが呆けた顔をして、不二はにっこり笑った。













だから














ワタシも笑った。



































――――――――

また良くわからね――――――――――!!!
誰か分かる人いるんだろうか。むしろ自分しか自分について行けないんじゃないか。
くそぅ、だから行き当たりばったりに書くと良い事がない!!長いし!!!
不二なんだかエロいし!!それもまたよし!!
やっぱどんなのに転んでも不二に戻ってきてしまう自分。。。。

return