「う〜ん....」
は重いまぶたを開けた。
日射しが眩しい。
ここは氷帝学園中等部屋上。
と侑士は昼食をこの屋上でとった後、午後の授業まで時間を潰していたのだが、どうやらふたりともそのまま寝てしまったらしい。
横を見ると侑士はまだ気持ち良さそうに眠っている。
その寝顔が普段とは別人のように幼くて可愛くてなんだか可笑しい。
知らない人から見れば背が高い上必要以上に顔が整っているせいでちょっと近寄りがたくて怖い印象を受ける侑士。
でも、実際はよく喋るしよく笑う。自分の思ったコトをズバズバ言う関西弁のおかしな奴。
そして、テニス部でもあの跡部が天才と認めるほどの才能の持ち主。
そんな天才が何故かあたしみたいな何の取り柄もない、ただの男テニのマネージャーなんかと付き合っている。
自分で言うのもなんだけど、変わった奴.....
時刻は12時50分。まだ午後の授業には十分間に合う時間。
は目を擦りながら身体を起すと、大きく伸びをした。
今日はやけに空が近く感じる。
雲ひとつない晴天で気持ちがいい。
「う〜〜〜ん...にやぁぁぁ!!」
気持ち良く伸びをしている最中にいきなり後ろから羽交い締めにされ、は悲鳴をあげた。
「ん〜vv」
「いきなり何すんのよ侑士!!」
は自分の身体に巻き付いてきた両腕から逃れようともがいた。
誰もいない屋上と言えどもここは学校。
どこで誰が見てるか分からない。
「ちょっと侑士、放してよ!!誰か見てたらどーすんのよ!?」
「ええやん。こうやってゆっくりできんの久々なんやし〜」
侑士は周囲を気にする様子もない。
そして、幸せそうにを抱きすくめる。
「それは侑士が忙しいせいでしょ〜」
「しゃーないやろ。都大会近いんやから」
「ちょっ...耳もとでしゃべんないでよ。くすぐったい」
侑士の声が近くてなんだか緊張する。
久し振りに感じる侑士の温もり。
息を吸うと侑士の匂いが身体いっぱいに広がって、ドキドキする。
の心を知ってか知らずか、侑士はの頭に頬を寄せた。
「ええ匂いやな」
「やめてよ。オヤジみたい」
「やかましわ」
侑士はの頭を軽く小突いた。
「あはは。でも侑士だっていい匂いするよ?」
「そうなん?自分じゃ分からんけどなぁ。どんな匂いしてるんオレ?」
「どんなって言われてもなぁ.....なんか.....」
.....なんかドキドキする感じ.....?
.....でもそんなこと言ったら侑士の思うツボだよね.....
「なんや、ハッキリせぇへんなぁ。オレどんな匂いやねん.....ほんまは臭いんちゃうやろな?」
から腕を放して、真剣な顔して自分の腕に鼻を近付けている侑士の姿が可笑しくては笑った。
ホント、オトナっぽいのか子供なのか判らない。
テニスをしてる時とは別人みたい。
でも、テニスをしてる時の侑士も今ここにいる侑士もどっちも同じ忍足侑士。
そして、あたしはどっちの侑士も好きだったりする。
そんなコト絶対本人には言わないケドね。
「なぁ、。このまま午後の授業サボろうや〜」
楽しそうに笑っているを見て、侑士は一度は放したをもう1度しっかりと抱き締め直した。
「残念。あたしこれから部活の予定表作んのに跡部んとこ行かなきゃなんないから」
「そんなん部活んトキでもええやん。なぁ、〜vv」
素っ気ないの返事に、今度は耳もとで囁きかける。
お互い成績は申し分ないから授業をサボったところで、支障をきたす訳でもない。
都大会が始まったら、こうやってゆっくりできる時間なんてきっとなくなる。
「なついたってダメなものはダメです。早く放して侑士」
「いやや。もう放さへん」
いつもなら耳もとで喋るとくすぐったがって、暴れるのに今日は冷たい。軽くあしらわれてしまった。
自分の期待している返事が返って来ないと何だかついつい意地になる。
このまま自分の腕の中に閉じ込めて、自分だけのものにしてしまいたい。
他の誰にも見せたくない。
他の誰にも触らせたくない。
これは単なるわがままだろうか.....?
「あのねぇ.....」
「ええやん。しばらくここでまったりしてようや。なぁ.....」
侑士は自分の腕から逃れようとするの両腕を押さえると、その細い首筋に自分の唇を押し当てた。
困った時の最終手段。
「ちょっ...やめてってば!!侑士!!」
「ほんまに首筋弱いなぁは。しかもそんな赤なんなや。このまま押し倒したくなるやろ〜」
「そういうことを口に出していうなぁ!!」
は真っ赤になって侑士の腕を振り払おうともがいた。
どうしてそう直球なのコイツは.....?
つーか、言ってて自分で恥ずかしくないの.....?
あたしは死ぬほど恥ずかしいのに...../////
そんなを見て楽しそうに笑うと、侑士はの身体を自分の方に向き直らせた。
「なぁ、ちょっとじっとしとけや」
「なんでよ?」
「動いとったらキスでけへんやろ?」
「するかばかぁ!!」
どうしてこんなに自分勝手なの.....!?
少しはあたしの気持ちも考えてよね.....!!
は必死に侑士の腕を払おうとする。
そう何度も成すがままにされている訳にはいかない。
いつも上手く言いくるめられてしまうケド、今日こそは負けない。
あんたは『我慢』って言葉を覚えなさい。
「あほう。がしたなくてもオレがしたいんや」
「そんな理屈が通ると思ってんの!?」
そんなのジャイ○ンと一緒じゃん.....!!
「思っとるから言ってんねやろ?」
満面の笑みを浮かべると侑士はを引き寄せた。
.....もう...../////
自信過剰でワガママで自己チューな奴なのに....
.....どうしていつも許しちゃうんだろう.....?
「ほんまに可愛いなぁ、はvv」
「だからそういうコト言わないでってばぁ!!」
自分の両腕にスッポリ納まってしまうを力一杯抱き締めて侑士は言った。
腕の中でが何やら抗議の声をあげている。
「好きやで〜〜vv」
「はいはい。もう勝手にしてよ.....」
はもう諦めたのか、ため息まじりに呟いた。
校内に午後の授業の開始を知らせるチャイムが響き渡った。
今からじゃもう授業には間に合わない。
「オレの勝ちやな♪」
の顔を覗き込みながら侑士は言った。
勝ち誇った顔もカッコ良くてそれが余計に憎らしい。
そして、侑士は当たり前のようにもう一度に唇を重ねた。
「.....バカ.....」
呟いたの声は侑士の唇に飲み込まれた。
渋々ながら、でもどこか嬉しそうにはゆっくりと目を閉じた。
END.
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忍足ドリーム第2弾。駄文ですみません.....爆
ここまで読んでくださってありがとうございましたvv
第2弾にして壊れ始めた忍足。そして、悪化する管理人の病.....笑
私の中で忍足は『不二と千石を足したような性格』ってコトで決着がつきました。
攻めキャラ決定です。しかも、不二さん同様黒い人だと思うのです。
やほうっ!
忍足ドリー夢!!!
このドリ夢はかなりレアだと私の中で確信しております。
だって流通してないですしっ!!!
そんなすんばらしい作品をHARUっちは下さいました。良い人vv
ていうか、ちょっとわがままっこの忍足もいいっす・・。
くすくす。賢い人だわ!!
不二と千石を足した性格って・・・・最強じゃんっ!!!
ありがとう〜〜〜HARUっちvv
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