いつまでも、どこまでも
どこまでも続く青空の、雲一つない晴天の下。 屋上で不二と英二が昼食を仲良く取っていた時に、英二はごろり。 と、身体を床に転がしてその青空を見た。 どこまでも続く青い空。 「ねぇねぇ不二〜〜〜〜」 視線は空へと向けたまま、英二は不二の名前を呼ぶ。 不二は本を読んでいた手を止めて、英二の呼びかけに答えた。 「ん?何、英二。」 「あのさっ、俺達がしわくちゃのばーちゃんとじーちゃんになってもずっと一緒にいられたら良いねっ!」 くるり。と、身体を反転させて英二は琥珀色の瞳で不二を見上げた。 そして、その目はとてつもなくきらきらと輝いて、いる。 一方不二は嬉々として話す英二を見て、こっそりとため息をつく。何故なら? (やれやれ、今度は何に影響されたんだか) 英二のこんな行動になれてる不二。 そして、いつものように英二に尋ねるのだった。柔らかく微笑んで。 「どうしてそう思ったの?」 「ん〜〜〜〜?あのねぇ。俺今日公園で散歩に行ったらさ、すっごく中の良い老夫婦を見たんだよね。手を取り合ってさ、仲良く楽しそうに話しててさ、年を取ると愛は冷めるぅ。みたいな風に思ってたから感動しちゃったよっ。」 やっぱり目をきらきらと輝かせて話す英二。その姿をとても嬉しそう且つ楽しそう。 「そう。それで、どっちがおばあさん役なのかな?」 微笑を絶やさずに、不二は英二に質問する。 その問いにしばし止まって、英二はうー―んと考えて・・・・・・ 「別に良くない?しわくちゃのじーちゃんとじーちゃんでもっ。」 にっこりと笑って、英二は言った。そんな英二を見て不二は何を思ったのか。ぱたり。と、読んでいた本を閉じて英二に向き直る。聞きたい事は・・・・・・・一つ。 閉じていた瞳をうっすらと開けて、指を英二の外は根の髪に絡ませる。 開かれた茶色の瞳が、英二を見つめて、暖かい風が二人の間を駆け抜けた。 「それで、それはプロポーズってとらえて良いのかな?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、はぁ!?」 長い長いポーズをはさんで、英二は驚いたように顔を上げた。 突然不二は目を開けたからその光の色に圧倒されて顔が赤くなる。 いつでも・・・・・いつでも英二は不二の一つ一つの言動、行動にどきどきしてしまう。 恥ずかしげもなく臭い台詞を吐くし、それに加えて動じない。 むしろ、わたわたしている英二を楽しそうに見つめる。 不二は・・・・・・・・・いつもいつも英二のつぼを付いてくるのだ。 それが本人の自覚ありなのかどうかは定かではないが。 体を寝そべったまま、英二は上半身だけを少しだけ持ち上げて、不二を見上げた。青空が背景として視界に・・・・・入る。 「だってそうでしょ。英二は僕とず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと一緒にいたいんだよね?」 にっこり笑顔。不二はにこにこと笑いながら英二に言った。 英二の表情は当惑。少し真剣に考えて、いる。 (可愛いなぁ。本当に真剣に悩んでる。) 心の中で、くすっ。と、笑う不二。いまだに悩んでる英二。 「うしっ。んじゃ二人で幸せなじー―ちゃんを目指そうねっ!目指せ100歳〜〜♪」 決断したのか、英二は体を起こしてあぐらをかいて、琥珀色の瞳が、まっすぐに不二を見つめた。 そして、自分の小指を不二の目の前に出す。 「約束。ね?」 そんな英二の行動を見て、天才不二は一瞬驚いた表情をしつつも小指を英二のにからませた。楽しそうににっこりと微笑んで。 そして、約束。 ちなみに、不二はその時こんな事を思っていた。 (あぁ、危なかった。危うく理性が飛びそうになっちゃったよ。僕も・・・・・・まだまだかな・・フフフ・・) 自分の失態に反省しつつも、しっかりと黒い不二であった。 ::::::後書き:::::: もうなんだか甘いわ甘いわで何がなんだか…。 やだなぁ、もうっ。 新宿でこんな甘甘な老夫婦と見てからどうも離れられなくて、ありきたりな設定だ。 とか思いつつ、書きました。 目をつぶって…・。 これこそ本当にショートショートですよね・・。はい。 んでもって、今日も塾に行く途中に会って、運命を感じました(にっこり) |