狼さんをしつける方法
あの後、達は少し大人になった。
英二は純粋そのものだったので、的にはとても教えがいがあった。
そう、色々と。
真っ白で、純粋で。
可愛い可愛いの狼さんだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・っ・・・・ふ・・・・」
英二自身を口に含んで、は舌で刺激する。
歯を少し立てて甘噛みすると、その身体はなお大きく震えた。
「ぁ・・・・・・・・・・も、だめかも・・・っ。」
長い睫毛がその大きな瞳を隠して、口元がぐっと引き結ばれる。
その様子をじっと眺めて、はゆっくりと笑った。
「いいよ、出しても。」
「で・・・・も・・・。」
身体を小刻みに震わせて、英二はためらうように口を開く。
それでも、もう限界なのはがよく知っている。
「ーーーーーーーーっ!!!!」
白濁とした液体がの口の中に注ぎこまれた。
ごくり。
と、喉を鳴らして、胃の中に流しこむ。
口に入りきらなかった液体は、つぅ。と、首筋に流れる。それを、手の甲でぬぐう。
の耳に届くのは、英二の吐く荒い息。
紅潮した頬。
そんな一つ一つのしぐさに、の胸は高鳴る。
まるで・・・・・
まるで、新しいペットにいろいろしつけをするような感覚。
調教する・・・喜び。
そんな事を考えてしまって、ふ・・・・と、笑う。
(何を考えてるんだか。)
自嘲しながらベットから降りる。そして、扉へと向かう。
そんなに向けられる、声。
「どこ行くの?」
英二の問いかけに、はゆっくりと振り向いた。
「手を洗ってくるね。」
にっこり笑って、そのまま外に出た。
英二の耳に響く、扉の閉まる音。
その扉を、英二は猫のような瞳で見つめていた。じっ、と。
その瞳に宿る感情は、一体なんなのか。
とんとん。と、階段を降りていく。
一歩踏み出す事に、は考える。
(一体どこまで行きつくんだろう?)
真っ白な英二。純粋な英二。
そんな英二を汚していく自分。
そう思うと、胸が苦しくなる。
でも、止められないのもまた事実。
以前、英二はにこう言った。
「どこまで踏み込んで良いのか分からない」
「嫌われるのは、いやだから。」
そう、英二は言った。
にはその言葉がとても気になっていた。
本当は英二はどこまで望んでいるのか。
嫌われたくないから、付き合ってるだけではないのか。
考えてしまう自分がおかしくなって、また笑う。
どう思ってるんだろうね、私の狼さんは
「。」
頭上から名前を呼ばれて、肩ごしに振りかえる。
階段の上から、英二が見下ろしていた。
「どうしたの?」
聞くと、英二は階段ををきしませて階段を降りていく。
との間が階段一つ分となるところで、英二は止まった。
「?」
英二がなにも言わないので、首をかしげる。
「どうしたの?」
もう一度、聞いてみる。
英二のその表情は読めない。どこか神妙な顔をしてを見ている。
次の瞬間・・・・・・
がばっ!!
「どぅわっ!!!!」
英二は突然を抱き上げると、そのまま階段を上がって行く。
俗に言う、お姫様抱っこというやつだ。
「なっ・・な・・・・・菊ちゃんっ!?一体何事!?」
「俺、今日とする。」
あっさりと言い放った英二の言葉に信じられない様子では絶句する。
何を言ったのか、いまいち理解できない。
「?・・・・??」
疑問符をとびかせながらも、はっ、として自分を保たせる。
「ちょ・・・何でもいいからおろしてよっ!!」
「やだ。だってもう決めたんだもん。」
その細腕のどこに抱き上げる力があるのか。
テニスをしているから、見た目よりもしっかり男の子という事は、聞いた。
でも、の中では可愛くて、優しくて、向日葵みたいなのが英二なわけで。
(こんなのなんか違うよっ!!!!!)
という感想を持つのである。
色々な思いを張り巡らせているうちにも、英二はどんどん部屋へと歩いて行く。
そして、扉を開けた。
閉められる扉の音が、やけに響いた。
ぽす。
と、やさしくベットの上に下ろされる。
「〜〜〜〜〜〜〜〜??・・・・・・・・!?」
目を大きく見開いて、英二を凝視する。
英二はの目の前で自分のシャツのボタンを一つずつ外していく。
(まずい・・・・・・・本気だ・・・・)
ここに来て、改めて身の危険を感じる。
どうも、英二は逃がしてくれる気はないらしい。
「ぁ・・の・・・菊ちゃん?」
「ん?なに?」
外していく指は止めずに、無邪気な顔で答えてくる。
(なんだよなんだよ・・かわいいぞ・・・・・・・)
ちょっと釈然としない。
本当に英二はやる気なのだろうか?
見えね−−−−−・・・・・・・・・
シャツのボタンを全部外して、その大きな目をに向けた。
「じゃ、しようか?」
(・・・・・・・・・・本気だ・・・・)
「ぁ・・・・・ぁぁぁぁのさ・・・・今日は・・・ちょっと。」
「アレの日だなんて聞かないよ?前もそう言ったよね?」
(見抜かれてるし・・・・・・)
はだけたシャツの合間から見え隠れする引き締まった筋肉に、思わず緊張した。
だから、身体を引く。
「なんで逃げんの?」
きしり。
と、ベットを鳴らして四つん這いになって近づいてくる英二。
その瞳が・・・・・・・一瞬・・・・・・・・・
一瞬だけ金色に光った気がした
(やば・・・・・・・・・・・・本当にまずい・・・かも)
生まれて15年、この時初めて本気に感じる処女喪失の危機。
今まで付き合ったひとはいたけれど、大抵は逃げ切れていたし。
確かに英二の事は好きだけれど
(私・・・・・・まだ中学生なんですけど・・・・・・・・)
どんどん身体を後ろに下げて聞くけれど、英二もそれについてくる。
「ね、はなんで逃げんのさ。」
天然だから、英二は恐ろしい。
そんな恐怖を、は今感じていた。
初めて英二の中の「男」を、見た気がした。
「だ・・・・だって・・・・・・」
どん。
と、の身体は後ろに下がるのをさえぎられた。
壁が・・・・・これ以上下がるのを邪魔する。
目の前には覚醒してしまった狼。
後ろは、壁。
(絶体絶命・・・・・・・・・・・・・・・・最悪)
そんな事を思って、うんざりした。
行き場の無くなったに近づいて、英二は手のひらをの頬に当てる。
「恐いの?」
「恐くなんかっ!!!」
先程までこちらが上に立っていたのに、「恐い」なんてことは言えない。
売り言葉に、買い言葉とはこの事。
こつ。
と、額を合わせて英二は言う。
「別に無理しなくて良いよ。・・・・・・・恐いのは・・・・俺もおんなじだし。」
「それなら・・・・。」
「でも、もう引き下がれない。」
とても間近で、その瞳を見据えられた。
「俺ね、のこと・・好きなんだ。踏み込んで、そんでもって嫌われるのは嫌だけど。」
「自分の言いたいこと、やりたい事を我慢してまで付き合っていく事はもっと嫌だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
言葉が、見つからない。
色々な感情が交じり合って、声に出なかった。
思いは、瞳のみで伝わる。
その意味を、英二が分かってくれるとは思わないけれど。
ふーーーーっ。と、は深く息を吐く。
そして、薄く目を開けて英二を見た。
「しょうがないな、私の狼さんは。」
その言葉を聞いて、それはそれはまぶしく・・・・・・英二は笑った。
ゆっくりと唇を近づけて、合わせる。
それは、始まりの序曲。
真っ白なシーツの上にうつぶせになって、は今日二度目の大きなため息をついた。
「にゃにさ・・・大きなため息をついて。」
あぐらをかいて、英二はに聞いた。
「だぁってさ・・・・なんか流されちゃったなー−−って。」
「良いんじゃない?それで。」
「ていうかさーーー、あっさりと私の処女奪ってくれちゃっても−−。」
唇を尖らせて、足を空中で交差する。
「しかもなんだか分からないうちに終わっちゃってさー−−。」
「良いじゃん、次から楽しめば。」
「そう言うもんじゃないでしょ。」
「だってしょうがないじゃん、終わっちゃったもんは。」
なんだか堂々巡りのような会話を続ける二人。
うーーーーーーと、唸る。
そんなを見て、英二はふふっ。と笑った。
「・・・・・・・・・何がおかしいわけ。」
「んーーーーー?だってかわいいなって思って。」
にっこり。と、英二は笑った。
その言葉を聞いて、眉間にしわを寄せて身体を起こす。
「可愛いとか言うなっ!!!」
「がいつも言ってる事だよ−−?」
にこにこにこ。
どうやらベットの上では英二のほうが有利らしい。
「・・・・・・・・・・・・・っ、だから嫌なんだよね。どうあがいたって、ベットの上じゃ私が不利にきまってんじゃん。」
「俺は結構嬉しいよ?だっていつもしてやられてばっかしだし。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そのままの状態で、なにか考えるようには黙り込む。
そして、すぅ。と、目を細めた。
「・・・・・・・菊ちゃんさ、本当にそれで終わると思ってる?」
「にゃにが?」
「だから、本当にいつまでも上に立てると思ってるの?」
聞いて、英二の表情が固まった。
浴びせられる、恐ろしいほど爽やかなの笑顔。
「・・・・・どーゆー意味?」
不安げな顔で、に尋ねる。
そしたら、にっこりと微笑まれた。
「わっ!!!」
ぐいっ。と、腕をひかれたからのほうへ身体が倒れる。
その上に、馬乗りする。
にっこり笑顔。
「私が、もっと大人な事を教えてあ・げ・るvvv」
さーーーーーーーっと、顔の血の気が引いていく英二。
それとは逆に、とても楽しそうなの姿が、そこにはあったのだった。
******今日の教訓********
可愛い狼さんが覚醒したら、早いうちに手を打つべし。
+++++後書き++++++
うーーん・・・・・ついにやってしまいましたね。英二ドリー夢。
あえて大事な所を省いたのはやっぱり菊ちゃんは可愛いままでいて欲しいという私の願望からでしょうか?それとも、ただ単に想像できなかった私の未熟なせいでしょうか?
とにかく、女の子すごいですね−−。
・・・・・・・女版不二?
どっちにしても、良いようにされちゃうのがうちの菊ちゃんですvv
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