『約束して』
アイツはそう言ってどこまでも深い湖の底のような瞳を俺に向けた。
― らぶじぇねれーしょん 約束 ―
息を少し切らしてアイツの姿を追っていたら、木漏れ日の下で見つけた。
きらきらと隙間からこぼれる光の中で、ただ立っていた。
背中を見て、思う。
泣いているのか
何を思っているのか
さらさらと肩にこぼれる髪
夏の陽射しによって少し焼けた肌
耐え切れずに、名前を呼んだ。
「。」
呼び声に応えるように、振り返る。
さらりと髪の毛がなって、かすかに揺れる長い睫毛が見えた。
その下に隠れる瞳。
いつもはくるくると変わる表情が、今はなんの表情も宿っていなくて人形のようだった。
泣いているのかと。
向き合うような形になって、瞳と瞳が交わった。
俺達の間に言葉はない。
言葉はなくても、お互いに会話をしているようだ。
は全てを理解しているように目を反らさなかった。
一言も、好きだといわなかった。
お互いに
このまま行ったら距離は近づいていたはずなのに。
運命の神様は本当に悪戯で
俺はアイツに告白させる機会さえも奪ってしまった。
「約束して。」
まるで見透かしたようには瞳をはずすことなく口を開く。
「もし跡部が死んだら、骨は私にちょうだい?」
忍足じゃなくて、私に。
そう言った。
が俺にくれた言葉は重くて。
しばし口を開けなかった。
けれど
「…………あぁ。」
そういって軽く頷いたのは
きっとまだ俺にも未練があったからだと思う
叶えられぬのなら
せめて死んだ後はそばにいて。
そういう意味だ。
分かっていて受け入れる俺もそうにかしてる。
刹那、風が動く。
不穏にざわめく空気は風によってふかれて
まるで春のように
無表情のその顔に花が咲いた。
ふわりとは微笑むと
「死んだ後まで一緒の墓に入れてやらないんだから。」
せめて死んだ後の時間は私にちょうだい?
そういって桃色の唇を歪めたのだった。
―――――――――
もうどうにでもしてくれ。
いっそ。
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