今の時期、人は皆成長するもので。
私の周りの子達はどんどん変わっていく。
自分だけが変わらずに。
自分だけが、子供のまま。
― 成長期 ―
やわらかなベットの上では身じろぐ。
薄い爽やかな青のシーツがを包み込んで
その肌触りの良さに目を細めた。
隣では侑士がテニスのビデオを見ていての頭を無意識的に撫でて。
(・・・・・・・・テニス馬鹿だなぁ。)
とか、思っていた。
シーツの中から見上げる侑士の横顔はとても大人っぽくて。
とてもじゃないけど同い年だとは思えない。
いや、に色気がなさすぎるのかもしれない。
これは、一種のコンプレックスだと・・…思う。
「どうした?」
「ん?」
「さっきから見てるやん、俺の事。」
視線はずっと前を見ていたのに何故か知っている侑士。
相変わらず、勘が良い。
もっとも、穴の開く如く、じーーーーっと見ていたから仕方ないのかもしれないけれど。
黒曜石を埋め込んだような瞳。
その瞳が今自分を見つめている。
「色っぽいなぁって。」
ずこっ。
その言葉に思わず侑士はずっこけた。
としては今に始まった事ではないし。前からずっと思ってたことだったし。
第一、別に言ってなかっただけだから大して気にしていなかったけれど侑士的には「突然」と、言うのだろう。
「なんや、突然…。」
ほらね?やっぱり“突然”なんだ。
「別に、今思いついた事じゃないよ。
私の周りさぁ。大人っぽいんだよね、皆。お前中学生か?みたいな。」
「せやなぁ。今の時代子供らしくない子供増えてきてるかもしれんなぁ。」
(お前もな)
とか思いつつ、は聞く。
「・・・・・・・・・・・・・・・男と寝た分だけ綺麗になれるって、ほんと?」
瞬間、驚いたように見開かれた侑士の瞳が捕らえてた。
「?・・・・・・・おかしな事言った?」
「どこで、そんなん教え込まれたんや?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・教え込まれたんじゃなくて疑問に思ったの。」
「別にえぇやん。気にせんでも。」
「エー――――・・・・気になるよぅ。」
「女はやっかいやなぁ。」
「侑士はすでに色っぽいから良いじゃんよ。どうせ分からないよね、私の気持ちなんか。」
少し拗ね気味で言ったら侑士は困ったようにため息をつき、の頭を撫でる。
それが気持ち良くては睫毛を伏せた。
撫でられるのは、スキ。
だって気持ち良いもん。
それが好きな人だったらますます良い。
だって、幸せな気持ちになる。
ぽかぽか・・・・するんだよね。
大好きな人の指が私の髪を鋤いて、絡ませて、髪が引っ張られる感じがとても好き。
きっと、侑士は分かっててやってるから、ちょっとむかつく。
やっぱりどこか侑士は自分より、大人だと思い知らされるから。
だから、唇を尖らせては言う。
「跡部はあっさり「そうだな。」って言ったよ。」
「お前、そんなん跡部に聞くなや。」
「だって気になったし、えきすぱーとじゃん。」
「エキスパートやって。」
「発音なんかどうでも良いの。やっぱりさぁ、女の子大人っぽくなるのって鍵はセックス?」
「(跡部の奴・・・いらんこと教えよって・…・)・・・・・・・・・・・・・・・・えぇやんか、可愛いんやし。」
「それじゃ駄目なのっっっ!!!」
声を荒げて拳をシーツの上に叩きつけた。
ぼすっ。というなんとも歯切れの悪い音と腕に伝わってくる弱い衝撃。
そう、駄目だ。
だってこのままだと自分だけ置いてきぼりになってしまう。
そんでもって私よりずっとずっと綺麗で可愛くて美人で侑士にめちゃめちゃ似合う人が持っていっちゃうんだよ。
が頭の中で納得いかなさ気に色々考えていたらの頭に影が落ちたから、視線を上に上げた。
そしたらビデオを見ていたはずの侑士の視線はに向けられていて。
既にビデオは止められていて。
不思議なほど静かな沈黙が流れて、いた。
その唇が動く。
「そんなら今ここで抱いてやろか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・は・・・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・・・・・・
思わず、思考が止まってしまった。
瞼を半分下げて自分のことを見つめる黒曜石。
その表情が妙に色っぽくて。
何も言えないでいると侑士はポスリとを横に倒して自分はの横に座ったまま腕をの顔の横に置いた。挟みこまれるようにしては見上げる。
まだ、思考が動かない。
なんて答えて良いのか、分からない。
「・・・・・・・・・・・・・その気がないなら言うんやないで、んな事。」
声が、囁く。
「・…別に、そーゆー意味で言ったんじゃないよ。」
「お前がその気にならなくても俺がその気になるんやって。」
唇が近づいて、渇いたの唇は潤される。暖かさが伝わって、暖められる。
その身体を、
は思いっきり突き放した。
両腕を侑士の胸に押し当て、身体を離させる。
侑士の表情は相変わらず読めなくて。
拒絶されたのにもかかわらず無表情で。
何も、映してはいなかった。
「どうした?」
「・・・・・・・・ごめん・・っ・・・でも、キス以上は、駄目。」
「なんでや。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「言えへんのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「俺にも?」
構わず尋ねてくる声が鼓膜に響く。
言いたくない。
でも
言えといわれているような。
そんな恐怖感。
「昔々のお話だよ。私を、初めて抱いた人の話。」
「は!?」
ひどく驚いた様子で侑士は言った。そりゃそうだろう。だって私は見目すんげ子供だし。
私だって中1で経験すると思ってなかったさ。
流されちゃった・・・・・・・・だけだもん。
「経験者だったんか・・・・・・・・・・・」
「意外?」
「意外っちゅうか・・・・まぁ、そうやな。」
それで?と、侑士が目配せしたのでそのままは続けた。
どうしてもその先に進みたくないわけを、言った。
「だって・・・・・・・・・・めっちゃ痛かったんだもん。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ゆるりとした沈黙が流れる。
「だから俺に抱かせへんと?」
「また痛かったら嫌なの!トラウマ!!!」
「痛くせぇへんて。っつーか、もう経験済みなら痛くあらへんて。」
「嘘だ嘘だ!男になんかあのきょーーれつな痛みを理解できるわけ無いもん!!!」
断固として、拒否。
言ったからには絶対やらせないと心に誓った。
もう、あんな思いはしたくない。
もう、流されたくない。
自分の意志で、決めたい。
本当は「過去ひどいことされてトラウマになっちゃったんですぅ。」
とかなんとか言えば大抵の男はひっかかって、やめる。
だが、相手はあの忍足侑士。果たして通用するだろうか?
(きっと、無理なんだろうなぁ。)
と、は思ってしまう。
案の定、侑士は少し顔をしかめてに言う。
「心外やな、俺は昔の男と同等の扱いなんか?」
確かに昔の男と侑士を重ね合わせるのは間違っている。
けれど
二人は同じ性を持って生まれてきた。
全然違う性格をもった女二人が、それでもどこか根が似ていると時折思うことのように、
侑士もそうではないかと思ってしまう自分が、いた。
そんな事だって思いたくないが漠然とした不安は消えない。
「………・男の人は、みんな一緒だもん。ベットの上ではね。」
「………………・」
流れるきまずい空気。
さて、侑士はこの状況を一体どう乗り越えるのか。
侑士はしばし考えて、そして口を開いた。
「そんじゃ俺が証明したる。」
「?」
「俺がそいつと違うって事を、証明したる言うたんや。」
言って、頬を侑士は撫でた。
夜空に映る深い闇。
その深淵のごとく瞳に星が駆ける。瞬く。
その黒をはじっと見つめて、そうして思った。
…………証明だって…・・?そんな事………………………無意味だ。
は全く持って信じようとはしない。
けれど決心を固めた途端覆されて流されている事には気付いているのだろうか。
やっぱり、氷帝の天才には効用は皆無だったようである。
「えぇ事教えたるわ。」
「う?」
唇を首筋に這わせて、侑士は呟いた。
少し体を離して、そして見つめる。
「お前のその目も、表情も、髪も、唇も。
お前の存在全てが男共を誘惑してるんやで。」
「・・…嘘だ。」
「嘘やあらへんよ。おかげで、俺めっちゃめちゃはらはらしてたし。」
人一倍子供扱いされてる私が何故、どうして、そんな風に見られてるのか。
そこが全然理解出来ない。
「私を子供扱いしてるのは、侑士じゃん。」
唇を尖らせていったら、「ほんまになんも分かってないんやなぁ。」と、言われた。
そして侑士は続ける。
どこか深い光を宿した瞳で、を射る。
「子供っぽいその性格と容姿。けど、その中で時折見せるお前の「女」にな、
反応しよるねん、男は。
なんでそんなん持ってるかなお思ったけど、それは昔の男のせいやって、今思った。」
“せいだ”と、悪い意味の方向できっぱりと侑士はの過去を否定した。
別にそれは構わない。
だって誰でも他の男の話をベット―シーンで聞きたくないだろう。
唇を耳元に落として、侑士は低く唸る。
「………・ほんま、憎々しいわ。」
一体それは誰への手向けの言葉なのか。
か、昔の男か。
を変えてしまった過去へか。
それとも
それを止められなかった自分へなのか。
++++++
身体に降り注ぐ幾つものキスの雨が、の身体に跡を残していく。
真白い肌にはその赤が
とてもよく映えた。
それは、初めて雪が降った日に、雪原の中を歩いて、振り返るとそこには自分のつけた足跡しかなくて
周りは静かで、何も無くて
言いようの無い優越感を感じた日の気持ちとどこか似ている。
それでも、小さな小鳥は鳴かない。
「………・は声出さへんねんな。」
「…………・…………出して欲しいわけ?」
「俺のド―パミンをめっちゃ刺激するねんvv。」
「………………………ぜって―――出さね――…・。」
「可愛くないやっちゃなぁ。」
「可愛くなくて結構だね。」
はぁ。と、一息ついては言う。その頬は今は桃色。
その言葉には「ほらね。皆同じだよ、あの人もそうだった。」という言葉が含まれている気がして。
ベットの中での頭の中にはまだあの男が棲んでいる事を思って、
侑士は熱い思いが込み上げた。
膝に唇を近づけて、舌を這わせて侑士は言う。
「なぁ、言い様の無い快感って味わった事あるか?」
「……………?…………よく…わからないや……・。」
「そんなら、俺が教えたるわ。」
黒い瞳の中になにか企んでいるような、からかっているような色が混じって
は、嫌な予感が、よぎった。
それでも、の肯定を聞く間もなく侑士はの足を開かせて。
その唇を下へと落とした。
ふぞろいの髪が太ももに当たって、くすぐったさに顔をしかめて。
その瞬間に
ソレは、きた。
「…………………ひゃうっ!!!……」
柔らかな舌がの泌部をなぞる。
鳴かない鳥は思わず声を上げた。
身体が跳ねた反動で状態を上半身を持ち上げて侑士の頭を抱え込む。
「ゆ………・・ゆー…・し…・やめっ…・。」
の制止は聞くことなく震える唇が紡ぐ小さな声に耳をすませた。
舌をもっと奥へと滑り込ませたら、途端にびくりと身体をは縮みこませる。
「やだ……そんなとこ舐めないで…・・。」
羞恥で顔が赤くなる。
耳元でどくどくと鼓動が聞こえる。
血が、逆流する。
流れ落ちる透明な液を侑士が舐めとって口へと含んで。
耳に届くなんとも言えない、やらしい音が
それがたまらなく恥ずかしくて
初めて味わった感覚にどう対処して良いのか分からなかった。
高く高く導かれていく躯。
瞳からは、涙が一筋流れる。
自分の頭を抱え込んで、髪の毛に指を絡ませる力が段々弱くなっていって、
それが自分を求めて来るものに変わっていくのが、
侑士にとってはたまらない快感だった。
「だ………め……・・侑士、もう離して。」
“もう許して”
そう、その言葉として侑士には聞こえる。
荒い息と共になんとも言えない切ない声が漏れる。
けれど、侑士は止めない。
それどころか泌部の中でも一番敏感な突起を指でなぞった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドクッ。
水が流れる音がの瞳から流れた大粒の涙とともに奏で、消えた。
「んうっ……・・っっ!!」
達しないまでも今まで以上の愛液が侑士の口へと運び込まれる。
「あ……………・はぁ……・・。」
カタカタと手が震えて、吐く息もどこか震えていた。
力無く、身体を侑士にもたれ掛けさせる。
そして放たれる一言。それは、非難でも、怒りでもなく、その言葉は。
許しを請うものだった。
「……………………………………………ごめん。」
………・はぁ?……・
言われたその一言に、侑士は行動を止めてしまう。
「……………・なんでお前が謝まんねん。」
ワントーン下がった声と、眼光に思わずびくりと身体が震えた。
「で…も。」
「でもやあらへん。」
きっぱり即座に否定して、強い瞳と口調でを射る。
しかし、とて押されるだけじゃぁない。
きっ、と、瞳をきつくして侑士を睨んだ。
「だって!侑士があんなことするから!!!」
「あんな?」
「普通・…しないでしょっ。」
声を荒げては怒る。
「お前経験ないんやからわからへんやろ?普通するかもしれないやん。」
「し・な・いっっ!!!」
ベットの上にバンと手をつく。
バネの備わったスプリントがしなって、ベットが揺らいだ。
「大体!私は侑士にあんなことして欲しかったわけじゃないよ!これじゃぁ、あの人と同じ…。」
そこで、言葉は止まる。
侑士の瞳は、冷たい。氷のように冷たく、鈍く、光る。
「ふー――――ん…?」
(まず・……怒らせた……ιι)
侑士を怒らせると恐いと分かったいたのに、言った後には後悔した。
意味ありげな言葉を残して、侑士は身体を起こす。
そして立たれているの膝の上に手のひらを置いて、そして軽く力をこめる。
「………まだ、イかしてへんかったな。」
悠然と吊り上げられる、赤い唇が
嗤った。
あまりにもあっさりと言ったから、自分の耳を疑ってしまう。
けれど、侑士はやる気ありありで、今にも行動に移そうとしていて。
は、焦った。
「いっ………・良いよ!!!もうっ…・・っっ!!!」
「遠慮すんなて。」
「してないしてないっっ!!」
ブンブンと頭を振るが、侑士は全然聞いたそぶりを見せない。さっさとの足を開いて、
そして頭を下げる。
(う…………うそだぁ・………泣。)
またさっきの訳分からない感覚に捕らわれると思うと泣きそうになった。
これこそ「口は災いのもと」なのだと人は言う。
下げる頭を一瞬だけ止めて、まだ温度の冷めた瞳でを射た。そしてそのまま意地が悪気に微笑むのだ。
「今度こそちゃんとイかして、そんで飲んだるわ。」
「――――――――――――っっっ!!!!!」
あぁ、神様……………・・。
はその時、本気で神に祈った。
++++++
その衝撃が来るまでの時間、それはとても長くて。
侑士にとっては一瞬の事なのだろうけどにとってはとても長いものに感じられた。
衝撃が来て、眩暈がする.
心が、叫ぶ。
自分で無い自分が快楽の声を上げて、侑士の頭を抱え込む腕は、指は、
侑士を求める。
これは、私じゃ 無い
そう、思うしかなかった。
玩具のように扱われているのか、それとも愛玩されているのか。
それさえも、今は分からない。
自分はオモチャなのか、人なのか。
それさえも、分からない。
そんなガラクタの想いを浮かべて、勝手に動く自分の身体が
ま る で
操り人形みたいで。
自分の意思を無視して自分を快楽に溺れさせるこの人の気持ちが掴めなくて。
たまらなくて
また、涙を流す。
「ふぅっ………・・っっ……・は……。」
もれるのは、甘い声。
それを聞いて侑士は法悦する。
潤んでいる瞳も、唇も、声も
全て侑士を惑わす呪具なのだ。
「……もう良いよ……もう…本当にもう良い……・。」
耳は、貸さない。
「侑士、分かったから。侑士の・・…きも…ち。」
ほんまに分かってんのか?
「だから……」
だから?
「許して・・……。」
「あっ・……!」
高らかな声を上げたのは、侑士が自分の指を指し込んだからだ。
柔らかくない、幾分固いものがを犯す。
“許して”の一言がとても癇に障ってしまって、思わずやり方を変えてしまった。
「・・…………キ………モワル………・。」
呟かれた声は、一体誰へと向けられたものなのか。
まだそれは
過去の残像を引きずっている。
「安心せぇよ、気持ち良くする言うたやろ?」
言って、侑士は自分の舌での敏感な場所を舐め上げた。
女が一番感じるであろう、性感帯。
そこがスイッチとなる事を侑士はよく知っている。
案の定、びくりと跳ねた身体は小刻みに震えて、カウントダウンを始めるのだ。
「ゆー・・・しぃ…………。」
透き通る声。その声が侑士を呼ぶ。
白い指が、求め、抱きしめる。
「あぁっっ!!!!……・・」
鳥は、最期に高く歓喜の声を、上げて、達した躯は、力なくその場にしなだれた。
「……はっ………・はぁ。」
荒い息を吐いて、は大きく息を吸った。
何度も何度も肺に酸素を送る。
目の前は少しかすんでいて。
頭もぼー―っとしていて。
それはどこか夢のようで。
でも、
すぐに覚醒させられた。
聞こえたのは、たったの“一音“のみ。
ゴクッ。
その声を聞いて、思わず顔を上げたら見上げている侑士と目が合った。
口元からは、透明な液体がつぅと流れ落ちる。
な……なに……・今の音………・。
はいまいち理解出来ない。
何故ならここには水なんてないし、飲み物なんてありやしない。
それなのに、確かに侑士は“飲んだ”
考えられるのは、一つだけ。
先ほどの言った台詞が頭を駆け、よぎっていく。
“今度こそちゃんとイかして、そんで飲んだるわ”
どこか嘲笑したような言い方。
弓を張ったように吊り上げられた唇。
その時の表情と同じものを、侑士は作った。
言葉を発していないのに、伝わる。
きこ…・・える。
カアッ。と、体温が急激に上昇するのを感じた。
しっ・・……信じらんない、信じらんないぃぃぃぃぃっっっっ…・!!!!!!
その強い感情だけが頭の中で周る。
泣きそうになりながら、侑士を睨んだ。
「なんや、その目。ちゃんと予告したやろ?」
実に、楽しそう。
「だからって何でそんなもん飲むのさっ、信じらんない!」
“信じられない”
頭の中で繰り返してきた言葉を、音に乗せて吐き出す。
「お前が飲まされたわけやないんやし、関係ないやろ?」
「あるよっ!私は恥ずかしくて死にそう!」
は「あんなもの人が飲むもんじゃない。」と、付け加えて黙り込む。
そっぽを向いて、向けられなくなって視線を侑士は追う。
そして口元に微笑をたたえたままに言った。
「何で飲むんやかって?」
挑発したら、あっさりのって侑士に視線を戻す。
その素直な行動に、満足して侑士は目を細める。
「ゾクゾクするやろ?」
ふっ……・・、と、鮮やかに笑ったら、眉間にしわ寄せては言う。
「変態。」
その変態好きになったんはどこのどいつやねん。
侑士は、そう心の中で思うのだった。
可愛い可愛いお人形さん。
おいで、こっちへ。
優しくしたるから。
最高の快感と、愛を注いであげるから。
だ か ら
おいで
疑うんか、俺の気持ちを
どうやったら、伝わるんや?
どうして、伝わらない?
何がいけない?
こんなに好きなのに
こんなに愛しているのに
どうして
届かない?
さぁ、手を伸ばして
そしたら悦ばせてあげる。
俺の全てをあげるから
あげる、から。
いつかで良い。
最期には、オレの名前を
呼んで?
----------------------------
後書き
なんだか要望の多かった侑士裏ドリ夢。
ちょぉっと危険っぽいですねぇ。
さすが侑士。
艶かしい態度がよく似合います。
にしても、長いんですけど・・……。汗。
あぁ、疲れた…・。
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