この頃跡部に彼女が出来たらしい。
いや、遊びなわけではないねん。それが。
彼女じゃない女ならそこらへんに沢山おるけど、跡部がマジになるなんて事は結構久しぶりだったりする。
・・・・・・・・・・・・・・・・もしや初めて何てこと・・・・あらへんよな。
いや、ありうるわな。
せやけどちょっと俺もおもしろくあらへん。
なんでよりにもよって跡部が本気になるんや。
俺のほうがずっとえぇ男なのに(そこ違う)
まぁ、俺も素行の悪さは跡部と対張るくらいやし人のこと言えへんけどな。
あ゛――――――――、おもしろくあらへんっ。
「跡部ぇ、お前ほんまに本気なん?」
「あぁ?」
机に肘をついて着替えてる跡部を横目で見た。
「ぬるい跡部なんて跡部やあらへんわ。」
「お前何言ってんだよ。」
「せやかて、面白くあらへんもん。」
「なんだ、スネてんのか?」
くす、と、嘲笑したような笑い方。
そんなんあるわけないやろ。女に嫉妬してどうするねん。
「俺はそっちの趣味はねぇぞ。」
「俺もや。」
もくもくと着替える跡部に目をやる。
鍛えぬかれた筋肉。
無駄のない身体。
部活後やから少し汗が髪についてきらきらと光る。
まぁ、俺のほうがずっとえぇ男なんやけど。
良い男である事に代わるはずがない。
女の中にはそのバリ最悪な性格でさえ魅力的だという奴もおる。
確かに人目を引く男だと思う。
人を引きつける男だと思う。
だからこそ、自分を女にしないという奴が信じられへん。
「それで?」
「あー―?」
「例の彼女とはどうなってんねん。」
「別に。変わりねーぜ。」
「うそっ。」
「・・・・・・・・・なんだよ。」
「あのお前が!!女に手を出さずに一ヶ月を過ごすなんて!!!」
「・・・・・・・・・殺すぞてめぇ。」
「冗談やって。ほんまに通じん奴やな。」
「一応言っとくが、手を出すんじゃねぇぞ。」
「ふー―ん、久しぶりに本気なんねんな。」
「だから?」
あっさり認めおったわ。
仕方ないなぁ、ほんまに。
「俺は、賭けたるで。」
「何にだよ。」
あーあー、明らかに嫌そうな顔しおって。
ごっつ迷惑な顔をした跡部が俺を睨んだ。
せやけど俺は口元を弓を張ったようにつりあげる。
「お前に女友達はありえへんわ。」
「俺だって友達で終わるつもりはねぇよ。」
「へぇ。そんなら、いつキーカードを出すん?」
「お前に関係無い。」
「確かに。」
ゆっくりと瞳を閉じて席を立つ。
「まぁ、俺はお前の成功を祈っとるわ。」
「祈られなくても俺は成功する。」
「はっ、随分な自信やな。」
そのままドアへと足を向ける。
「おい、ジャージのままで帰るつもりか?」
「気にせんといて。ちょっと頭を冷やしてくるわ。」
「・・・・・・・・・?」
てくてくと、ゆっくりと枯れていく木の葉の下を歩いてた。
かさかさと、俺が踏んだ枯れ葉が音を出す。
ほんまにどうしたんやろ。今までこんな事一度も無かったのに。
いやいや、俺はほんまにそんな趣味はあらへん!!
だって一度も本気になるなんて無かったし。
何時でも、アイツは王者やったから。
追う側なんて似あわへん。
「あ゛―――、俺らしくない。」
ほんまにな。
頭をくしゃくしゃと掻き毟ったら、ふと俺の目に人影がうつった。
校門の前にたたずむ人物。
目を、見張った。
俯きかげんにその瞳は伏せられている。
さらさらとした髪はかたにかかって。
秋だからか、その姿はどこか儚げ。
なんや、随分レベルの高い子やなぁ。
別に俺は驚かへんけど、俺の目に止まったっちゅ―事はそうとうなもんやな。
なぁんて、な。
ん・・・・?なんか雲行きが怪しくなってきたわ。
数人の女子生徒が彼女を囲む。
何が起こったのか分からないという風に首をかしげた。
「あんた、めざわりよ。」
「は?」
「は?じゃぁないわよ!あんたなんでしょ!!跡部君のまわりをうろちょろしてる女!!」
げっ、跡部の奴、あんなかわえぇ子にも手をだしてたんか!!なんて奴や!!!
「えーーーと、何かの勘違いかも。」
「嘘言ってんじゃないわよ!!!他校の女につきまわされちゃ跡部君も迷惑なんだから!!」
「迷惑なのはあなた達でしょ?」
「なんですってぇ!!!」
「それに、迷惑してるのは私も同じ。私は跡部君の友達なんだから一緒に居るの当然じゃん。」
「あの人に女友達なんてありえないのよ!!!」
「ごめん、ありえてる人がここに一人。」
ぎゃーーーす、なんてこったい。
まさかあの子が「例の子」なんか!?
つーか跡部の奴、あんなレベルの高い子を側に置いてるなんて卑怯や!!
その間も、数人の女子生徒たちは彼女に詰め寄る。
あかん、いくら女に嫉妬してたかもしれへんけどここで助けなきゃ男がすたるってもんやな!!!
「お前ら、何してんねん。」
「あっ、忍足くん!!!」
「(忍足・・・?)」
「はよ去ねや。そしたら跡部には黙っとったるわ。」
「「「っっっ・・・・・・・・・・。」」」
すごすごと、目じりに涙をためながら去っていった。
ていうか、普通にしてたらなかなかいけてるのに、女は醜くてたまらんわ。
ふと気がつくと、大きな目を更に大きくして黒い瞳が見つめてた。
「えぇと、大丈夫?」
「あ、うん。どうもありがとうです。」
ぺこり。と、一礼。
珍しく礼儀正しい子やな。
「そのジャージ・・・。」
「え?あぁ、俺はテニス部なんねん。」
「うん、見たことあるよ。さっき忍足くんって言ってた。ダブルスの?」
「しってんの?」
ちょっと意外だった。そりゃまぁ、レギュラーなだけあって名は知れてると思うとったけど。
「英二が。」
「あぁ、子猫ちゃんか。」
つー事は、俺が負けたって事も聞いたってわけやな。たはー。
それよりも、聞きたい事は他にある。
「さっき・・・。」
「?」
「跡部の友達って言ってるの聞いて・・・。」
「あぁ、ほんとだよ。」
ホンマかいな。ちょっとショック。別に狙ってたわけやないけど。
「意外?」
「え?」
「なんかびっくりって顔してる。」
「あ、あぁ・・・ちょっと。」
「あはは!素直だね!!」
笑った顔も可愛い。やっぱりレベル高いわ。
「あかん。」
「何が。」
「跡部に手は出すなって言われてんねん。」
ぽりぽりと頭をかいたら、またまぶしいほどの笑顔を見せた。
「おっしーくんわ。」
「おっしーくん!?」
「え、駄目?」
駄目なわけないやん!!てか可愛ぇなぁ。ほぅ。
「別にえぇけど。俺も名前聞いてもええ?」
「ああ、自己紹介がまだだったね。私青春学年3年のです。以後お見知りおきを。」
「それは俺の台詞や。俺は氷帝学園の忍足侑士。3年や。」
なんだか握手をした。
跡部が友達から始めようとか言ったが分かった気がした。
「なんやーー、ちゃんは跡部にはもったいないわぁ。」
「そうかな。おっしーくんは跡部君の友達?」
「うーーん、そうやなぁ。まぁ、そこらへんの奴らよりかは知ってるつもりやけど。」
「そっかぁ。いいねぇ。」
「えぇの?恋人のほうがえぇやん。」
「あは、恋人になりたいの?」
「もし跡部が女やったら絶対彼女にしとるわな。」
「あははっ!跡部君が女なんだ!!」
「あったりまえやん。アイツ女顔やし。」
「言えてる!!!」
気が合って話しが合った。
確かに、女友達も悪くあらへん。
しかし、そんな事を話してるのは一時の幸せにしかならない。
ひんやり・・・とした空気が足元にきた。
決して冬が近いからとかそういうものではあらへん。
ぞぉ。として振り向くと。
「侑士、てめぇ・・・俺の言った事忘れたのか?」
わぁお。青筋浮かばせてめっちゃ怒ってるやんか。
「忘れてへんって。俺はちゃんを助けたんやで?なぁ。」
「そうそう、また跡部君の彼女と間違えられちゃったよ―――。」
「時間の問題、だろ。(ぼそ)」
「なんか言った?」
「いや、それで今日はどこに行くつもりだったんだ?」
「あ、そうだよーーー。てかさ!!なんでいっつも私の予定が入ってる時を見計らってメールくれんのさ!!しかも返さないし!!」
「返したらお前こないだろ。」
「コミュニケーションは友人関係を築くのに大切だよ!」
「もういい。それで?」
「むぅ。今日は!!英二と不二と一緒にたこ焼き食べる予定だったの!!!」
「たこやきぃ!?」
「(ありえへん・・・)」
「そうだよ。こうなったら絶対付き合ってもらう!!」
「アホ!!この俺がたこ焼きなんて食えるか!!」
「なんでも挑戦だよ。大丈夫、超美味しいし。」
「絶対嫌だ!!」
「英二達の約束をキャンセルしてあげたんだから付き合ってもらう!!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっぅ。」
案外気の強い子なんやな。てか跡部がたこ焼き・・・
「・・・・・・・・・・・ちっ・・・。」
「よぅし。」
「(折れるんか)」
「じゃ!早速行こう!!」
いそいそと、ちゃんは歩いて行った。行く気満万や。
ふと視線に気がついて目を横にやると「付いてくるんじゃねーぞ。」な感じで睨んでる跡部の瞳とぶつかった。
「分かってますって。」
「つーか、お前随分仲がいいな。名前でよんでんのかよ。」
「フレンドリーでええやん。つーか、お前まさかちゃんの名前知らへんかったなんて言うんやないで?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「図星かいな!!!」
「今知ったからいい。」
「それは友達になる以前の問題やで!!」
「・・・二人ともなに話してんの?」
「・・・なんでもあらへんよ?」
「ふーーん・・・?」
「なんでもない、行くぞ、。」
「ういっす。」
「(もう呼び捨てかい・・・)」
「てゆーか、いつ跡部君名前知ったの?私に聞いてないよね?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あなどれへん。
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おまけのつもりがなんだか長くなってしまった。
ま、いっか。
おっしー視点で見てみました。
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