隣の席、一緒にいたいと思う事
今は体育授業前の休み時間。 女子は更衣室で、男子は教室で洋服を着替える。 そして、もちろん英二も不二も教室で着替えるわけで・・・。 「う〜〜〜〜〜〜っ。」 ばさっ。と自分のうわぎを脱ぎ捨てて自分の体操着を探す英二。 そんな英二を呆れたように見つめる不二の姿が隣にあった。 自分は着がえずに机に肘をついてあごを手の上に乗せている。 「・・・・・・・英二・…服着なよ…服…」 「だってだって体操着見つかんないんだもんっ。あれ〜〜〜おっかしいな・・・。」 上半身裸のままでうろうろと歩く。 (・…・・・・・・英二・・・・それ犯罪だから・・・・・ていうか、おへそ見えてるよ?) あんまりにも萌えすぎる姿を満喫しつつも他のクラスメイトに見せるのは忍びないと内心呟く。 実に英二らしき行動。けれどもあんまりにもサービスのし過ぎではないかと、思う。 「あったぁ!・・・・・って、あれ?不二着替えないの?」 そこで初めてまだ机に座ってる不二を見る。教室の中には不二と英二だけ。 どうやら英二が体操着を探している間に皆移動してしまったらしい。 「英二は元気だねぇ。」 「にゃに年よりくさい事いってんのさっ!早く着替えなよぅ。」 「・…どーでも良いけど上着着なよ、上着。」 「不二こそ早く着替えなってば!授業始まるよっ!!!」 不二は、ふぅ。と、ため息をついて腕を前に投げ出すとべたー――っと机に身体をくっつけた。 どうやら着替える気は毛頭ないらしい。 「もーーーー、一体なんなんだよっ。不二〜〜〜〜?」 呆れつつも不二の目の前に回りこんで顔をのぞきこむ。そして、自分の手のひらを額に当ててみる。 けれど、熱は伝わってこない。 「・・・・・・熱はないみたいだけど、具合悪いの?」 「別に悪くないけど、今春でしょ?なんか気分的にだるくなるって言うか・・。」 「春ボケじゃん。」 「違うよ。」 ずばっ。とした英二の突っ込みに間髪いれず否定する。 英二は動く気全くなしの不二を見て「も〜〜〜。」と、文句を言いつつ不二の隣の席。つまり自分の席に戻って着替えようと体操着をかぶろうと肘を上げた。 それを少し冷ややかに見つめる、不二。 刹那 「うにゃぁぁぁぁぁぁっっ!!!!」 英二の奇声が教室内に響く。 突然の行動。 予期せぬ、出来事。 不二の腕は英二の腰にまわされて、いた。 思わず体操着を着るのを止めて不二を睨む。 「ふ…不二っ!!」 「ふふっ・・・・英二の生肌・・気持ち良いね。」 「生っ・・・・・!!は・・はなしてよ〜〜〜〜〜〜ι」 「いや。」 すっかりわがまま大魔王と化してしまった不二に対してその言葉は、無意味。 不二は嬉しそうに絡ませている腕に力をこめた。 いつもとは違う、感触。 自分の肌に感じる、不二の体温と服の感触。 いつもとは違う、状況。 それら全てが英二の鼓動を早くさせる。 けれど 不二の腕を振り解けないのもまた事実であって。 う〜〜〜〜〜ι と唸りつつも不二の背中に手をまわした。 「久しぶり・・・・こうやって英二に抱きついたの・・。」 (〜〜〜〜〜〜〜〜んな恥ずかしい事ほいほい言うな〜〜〜〜〜ιιι) 「ふふっ・・・・ちょっと得しちゃった・・かな?」 「・・・・・・・・・。」 どんどん鼓動が早くなって、どんどん体が熱くなって。 心が…・騒ぐ。 そんな自分に耐えられなくて不二を自分から力いっぱい引き離す。 身体が離れた事でお互いの顔が見れるようになる。 交わる、視線。 止まる、時間。 「・・・・・・・・・・・・も、もーーおしまいっ!いいかげん着替えて出ようよっ!」 「・・・・・・・やだ。」 「はぁ?」 「折角誰にも邪魔されずに二人きりになれたのに僕がこんな美味しいチャンス逃すと思う?」 見つめてくる茶色の瞳は、冷ややか。 英二としてみれば言っている事がよく分からない。 「そりゃ俺だって二人きりだと嬉しいけど次授業じゃん。」 「そうだね、サボっちゃえば?」 にっこり笑顔で微笑まれた。けれどもその台詞と全然マッチしていない。 「にっこり笑顔でいう事っ!!??」 「あはは、すごい良い突込みだねvv」 (駄目だ…全然人の話聞いてないし・・・。) はぁぁぁぁ・・・と、盛大なため息をついて、不二に、ちろり。と視線を移した。 にっこり。 視線が合って、微笑みかけられて、思わず顔が赤くなった。 急いでまた視線を外すと体操着に着替え始める。 (可愛いなぁ、英二は。二人しかいないのに照れちゃって、ふふふ。) そこで、英二は着替える手を止めて、しばし考える。 そしてまた体操服を脱いだ。 「?」 英二の奇怪な行動。掴めない、思考。 そして疑問を抱いた。 今度は・・・一体なんなのか。 だから、聞いてみる。 「どうしたの?僕の事なら気にしなくても良いよ。英二体育好きなんだから行ってくれば・・・。」 「いい。」 きっぱりと、英二は答えて制服に着替える。 琥珀色の瞳は、茶色の瞳を捕らえる。 「今日は・・・・すんごい天気良いから・・・。空が青いから・・・・特別。」 少しだけ頬を染めて、英二は言った。 どうして空が青い事が一緒にいる事になるのか。 どうして体操着に着替えずに制服に着替える事になるのか。 どうして、大好きな体育をしない変わりに隣にいる事を選んでくれたのか。 ・・・・・・・・さっきはあんなに渋ってたのに。やっぱり良くわかんないなぁ。 そう不二は思うけれどもとより猫の思考を読むなんて不可能。 いつだって、猫の思考は・・・・・・気まぐれなのだから。 窓の外に広がる青空のように広大で、澄んでいて、無限な・・・・・・・存在。 不二の大好きな、「菊丸英二」という名のもとに生まれた猫。 「体育好きなのに、サボっちゃうの?」 意地悪な微笑を浮かべて不二は問う。 英二は少し唇を尖らせて机の上に座った。見つめるのは、青い空と白い、雲。 「・・・・・・・・・・・・だって・・・・・不二いないんじゃ意味ないじゃん。」 一瞬、言葉を失って。 けれど、嬉しそうに不二は笑った。 そんな不二の笑顔を見てますます頬を赤らめる英二。 「・・・・・・んな嬉しそうに笑わないでよ・・・・。」 「嬉しい時には笑うのが普通でしょ?」 にっこり。 お決まりの笑顔で不二はまた笑った。 「・・・・あ、そうだ。別にここで体育すればいい事じゃない。」 不二は何か思いついたように、口を開く。 「へ?」 背中に感じる嫌〜〜〜〜な予感。 「体育って・…ここ教室だよ・・。」 「別にボールとか道具とかを使うだけが体育じゃないでしょ?ようは身体を動かしてからだのリズムを整えるのが体育授業の目的な訳だし。」 嫌な予感はますます膨らむ。 そして不二の口元に浮かべられる不適な微笑。 「ねぇ?英二vv」 「不二・・今度は何たくらんでるの?」 「分からないの?可愛いなぁ。」 「だからなんなのさっ!!」 二人の体育の授業はこれからが始まり……・・らしい。 |
いやはやーー・・・・ こんな物送りつけてしまって申し訳ない限りの作品ですね。はぁ。 やっぱり隣の席だと色々な事が出来るのでしょうか? 窓側の席だと絶対よそっちょ向いてそうです・・・。 んでもって、お空とか見て「空は動いてるよなぁ・・・。」と、きっと無駄な事を考えている事でしょう。 ・・・・・・・可愛いぜ・・・菊ちゃん(萌えるなっっ!!) |