― 付き合ってる彼女の話 ―



俺には付き合ってる彼女がいる。
その彼女とは、めらくそやる気がない。

日々、堕落に毎日を暮らしている。
誰もが羨むテニスセンスを持っていながらそれを鼻にもかけずに面倒くさげにテニスをする。
それを、どれだけの人間が欲しているのとも知らずに。

天は二物を与えず。




そんな言葉を俺はよく思い出す。




でも、男勝りだが美人な俺の彼女は人気があって。
男ではなく女のなかでファンクラブとかあったりする。


・・・・・・・・・・・彼氏としてはちょっと複雑かも。







「英二――――――。菊丸英二――――――――。」

「あ、じゃん。どしたの?」

「どしたのじゃないよ。またいないんですけど。」

「ええっ!そんなのしらにゃいよ!」

「そんなわけには問屋が下ろすわけないでしょ。探してきて。」

「え゛ぇ!?」

「私じゃなく部長に怒られたい?(にっこし)」


嫌だ・・・それは嫌だ。
女子部の部長。
それは不二みたいな存在だ。
にっこり笑顔ですごみがきく。彼女自身そんなつもりはないらしいが俺的には不二のような人間を知っているので怯えてしまう。
なんだか苦手なんだよなぁ。









仕方がないので俺はを探す。
さて、今日はどこにいるんだろうか。
の行動思考は全然読めないから俺でもなかなか発見出来ない。

だけど俺だって部活あるし、早く見つけないと俺が手塚に走らされるよ、泣。














・・・・・・・・・・・・あ・・・・・・・・・・・・・・







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・いた。
















「・・・・・・・・・・・・・・・・・、なにやってんの?」

「ああ?」



柄悪くてごめん。これ俺の彼女。
出身地は関西。
独特な口調と性格は酷く目立つもの。



そんな俺の彼女は木の上で寝ていたのか、面倒くさげな声を出した。


「・・・・・・・・・なんや、英二か。」

「なんやじゃないよ。怒られたんですけど。」

「別に私のせいじゃないやん。」

「半分のせいですー―――――。」

緑のカーテンの下で、はちろりと俺に視線を向けたがそれも一瞬の事。
すぐにとろりと睫毛を落とす。

「ああっ!!寝ないで!!」

「只今お昼ね中とでも言っといて。」

「それは只今お茶ずけ中のぱくりじゃん!!!」

「ぱくりとかゆーな。」

「とにかく行ってよ!!今日はルドルフの女子テニ部と練習試合なんでしょ!?」

「それこそどうでも良いじゃん。練習試合なんだから。」

ふあぁ。と、欠伸。
本当にしょうがないな。

「俺、そういう考え良くないと思うよ。」

俺は少しむっとする。
いくらすっばらしいセンスを持ってたってそれを発揮しなきゃどうにもならない。
それが欲しくてまらない人もいるのに。
どんなに努力しても手に入らないひともいるのに。



そんな態度は、ない。



俺はテニスが好きで、普段は明るくておちゃらけてるかもしれないけど。
それでも努力は惜しまなかったし、強くなるためなら乾のメニューもこなした。

・・・・・・・・・・・・・あれは・・・・・・・・本当に冗談抜きでつらかったんだけどね。



きっ、と、木の上を見上げて睨んだ。
緑の葉にかこまれて、木漏れ日を身体一杯に浴びながらは空を見上げる。
それこそ、俺の話しなんて聞いてないんじゃないかみたいな。


時折の心は遠くへ飛ぶ。



そんな不思議な性格をもっているのが俺の彼女だ。





ぽりぽりと首筋をかく。
なにか考えているような瞳。
その瞳が、一瞬俺を見た。













刹那    ざぁっという葉のざわめき。


風が吹いたのかと思った。

びっくりして、目を見開く。
今自分の前で行われた出来事に唖然とした。

気づいた時にはは俺の前にいて。
木の上には誰もいなくて少しだけはらはらと葉が落ちる。
ダンスを踊っているみたいに。


は俺の方を見もしないで自分の身体にかかった葉をはたいた。

俯きかげんで葉をたたきおえると顔をあげる。
前髪のすきまから見える瞳。
強く光が宿る。


その瞳を見て身が竦んだ。





だけどその瞳はすぐにそらされて、俺に背を向けた。


俺はその姿をただただ見つめる。圧倒されて。






「自分なにやってんねん。」

「へ?」

「英二が来いっていうたんやないの?」

肩越しに言われて、そうだったと思う。
だからその後に続いた。

離れて歩くのは俺との距離なのか。
いつまでも何を考えているか分からないなんて彼氏失格なのかな。
こんな俺って頼りないのかな。
むしろ、俺で良いのかな。



は良いっていってくれた。
あんまり笑わないけど、その時は ふ・・・と、笑ってくれた。
笑ったその微笑があまりにも綺麗だった事を覚えてる。
普段笑わない人間の笑う姿がこんなに印象的だなんて気付きもしなかった。





そのままの英二が好きだからね。




そんな事を言ってくれたけど、実は半信半疑な俺だったりする。











本当に俺なんかで良いんですか?


















「ねぇ。」

「?」

「さっきから、なんで後ろからついてくんの?」


また肩越しに振り返られた。

質問に唖然とする。




「別に意味はないんだけど。」

「ふぅん。だけど不自然じゃやない?」

「そうかな。」

「だよ。」

「そっか。」

言われたから俺はの横に並んだ。
の視線は変わらず眠そうで。
加えて俺を見ようともしない。

またきまぐれなのかな。そう、思った。



「英二は・・・背高いね。」

「そ・・・そう?」

「ん、高い人・・・好きやで。」

「(ええっ!?)」

「?」


天然!?天然ですか?(お前が言うな)
好きとかめったに言わないから、どきどきしてしちゃったじゃん!!
うっわ、恥ずかしい。でも嬉しい!(どっちだ)

そういえば、よく考えてみれば尻にひかれてるかんじの俺だけど、背は俺のほうが高いんだ。
隣にいるのはやっぱり女の子な訳で。
きっと引き寄せたら簡単に俺のほうに倒れるんだろうな。
・・・・・・・・・・・・・・・そんな事したらきっと恐いからしないけどさ。












「じゃぁ。」

「え!?」

「またぼーっとしてたんか?もう女子コートだから。」

「・・・・・・・・・・・・・・今日は女子の試合を見るんです――――(ぶぅ)」

「・・・・・・・・・・・・・・覗きは犯罪やで?」

「違ぁう!!!女子のテニスも見るのも勉強!!」

「またそんな事言って自分だけ青春しようとするんやから。」

「だから――――――――!!!」

「はいはい、そこまで。」

ストップをかけたのはだった。
二人分の視線がに集まって、は肩をすくめる。

「仕方ないな、は。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・別に練習試合になんか興味ない(ぼそ)」

「そんな道理通じる訳ないでしょ?一応レギュラーなんだから。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・レギュラーって面倒くさい・・・。」

「あ、そろそろ時間だよ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・もう?」

「そ、だって一番てじゃないのやる気失せてくるでしょ?」

「もうない。」

「そんな事いわずにシングルス行ってこい!」

ばしりと背中を叩いて前へ押しやった。
は本当に嫌そうな顔をしてコートへ向かう。
俺もみんなのいる場所へとと一緒に歩いて行った。


「・・・・・・・・・・・英二、やっと見つけたの?」

にっこり笑いながら不二が俺に聞く。
俺は溜息をひといきつくと、フェンスの上に腕を乗せて首をのせた。

「ま、ね。」

「ちゃんとやってくれるかな?」

「うーーん、難しいかも。」

「それじゃぁ人参が必要だね(くす)」

「・・・・・・・・・・・・・・・・(人参・・・?)」

にんじんってなんだ。とか思った。
だけど、その笑い方があんまり良いものではないと判断して俺は尋ねるのを止めた。
不二がそういう笑いする時はあんまり良くないんだよな――――――――。
あ、これは俺の経験が生み出した能力ね?

































――――――――

俺の予想に反せず、やっぱりはやる気がない。
適当にボールを返して、適当にラリーを続ける。

「あ〜〜〜〜もうっ、何やってんのよぅ!!!」

の天敵だものね、相手。」

「ていうか、あいつの事はみんな嫌ってんじゃん!!」

そんなと部長のやりとりを俺は聞いてた。
相手はルドルフ期待の星。
何故かに敵意をもってる。
は眼中に無しだけど、ライバル視してる超お嬢様。
・・・・・・・・・・・・・・・目指すはお蝶婦人らしいよ(「エースをねらえ」より)

あんなんだけど実力は本物だから勝手にライバル視される事も多いっては言ってた。
今、俺はその光景を間のあたりにしてる。
性格悪いって女テニの子達は言っていたから、に期待をかけてるのも分かる。
くどいようだけど実力は本物だから。


「あー―――、あれは駄目だね。」

「少し冷静すぎじゃないかい?」

「乾、あんたは何も分かってないよ。」

「それじゃぁ女部長には何か策があるとでも?(くす)」

「勿論。」

部長、乾、不二がなにやら話してる。
不二・・・なんか企んでるでしょ。ていうか、あれは何か楽しそうな事が起こるのを予想してわくわくしてる顔だ(嗚呼・・・)

「そろそろ人参を用意するかな。」

「ねぇ、聞きたいんだけど人参って何?」

部長に質問した俺に一斉に視線が俺に集まって、恐縮した。
何、何さ。なんで俺を見るわけ!?

「なに言ってるの、人参は英二だよ。」

「・・・・・・・・・不二?」

「知ってる?馬を早く走らせるためには前に人参を出すわけ。早く走れたら御褒美ってわけ。」

「・・・・・・・・・御褒美・・・。」

「そう。」

「(嫌な予感・・・)」

「ちなみに、教えといてあげようか?」

「いい。絶対嫌な感じだもん。」

「そんな事言わずに、ね。人参は・・・御褒美だから・・・。」

「・・・・・・・・・だから?」

「食べられるんだよvv」

「やっぱり――――――――――!!!!」

「良かったねぇ。英二。」

「何が良いのさ!!!」

「これでは勝てるよ。英二のおかげだよ。」

「いや、分からないよ。なにせ相手がだし。」

「それもそうね、不二。」

「俺を抜きで話しを進めるにゃー―――――――!!」

「兎に角、やってみる価値ありね。」

やんわり微笑んでる部長の顔が悪魔に見える。
彼女はそんなつもり全然無くて悪意なしだってことは分かるけど、俺にとってはNO!って感じだ。













「・・・・・・・・・・ふっ、どうしたんですの?。」

「え?何が?」

「何がじゃありませんわ。そのやる気のなさ。」

「あぁ・・・別に・・・気にせんといて。」

「良いんですの?このままでは私が勝ちますわよ?」

「別に良いよ。練習試合だし(にしても凄い話し方やなぁ)

「・・・・・・・・(なんか微妙むかつくのは何故・・・・?いえ、それでもに勝てたとなれば、私の株もあがりますわ!!!)」

なんとしても勝たなくては!!
ルドルフのエースはそう思った。
観月といい、こんな奴が多いのはルドルフっていう学校のせいだろうか?









「・・・・・――――――――――――――!!!」

「・・・あ・・・部長。」

「随分やる気がないみたいね?(うふ)」

「ああ、気にせんといて。」

「ちょっと!!!外野は黙っててくださらない?」

「(無視)聞いて驚かないでね。あなたこの試合に勝てたらそのまま早退していいわ。」

「(ぴく)」

少し反応した。・・・・・・つられるんだ、
だけど反応しただけで行動には移らない。

「・・・・・・・・へぇ(でもいいや・・・めんどいし)」

嗚呼、そう来ると思ったよ。ってそういうキャラだもんね。

「(やっぱりそれだけじゃ駄目か)でもそれだけじゃないわ。」

「他に特典でも?」

「・・・・・・"菊丸英二"っていう特典付きよ(にやり)」

「・・・・・・・・・・・。」

「ギャ――――――!!!なにそれ!!!」

「手塚にも了承済みよ。安心して。」

「安心するもなにも!!ちょっと手塚!!良いわけ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・青学の勝利のためだ。」

「ぇえー―――――――!!??」

「あはは、手塚は青学Loveだからねぇ。」

「不二――――――――――!!!」

「・・・・・・・・・・・・・・。」





































「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へぇ?」















なんだか嬉しそうに吊り上げられたを見て、その場にいた全員が固まった。
いっきにツンドラ地方のような気温まで下がる。


邪悪な微笑が浮かばれる。








めったに見られない人間の笑顔は貴重なもの。




だけど―――







「・・・・・・・・・・・・・・・・・・っっっ。」

「俄然やる気出てきた。」

「ギャ―――――――――――――!!!!」













あれは微笑みじゃ、ない。























その後、見たこともないような早さで勝利をてにしたのはいうまでもない。
本当に、あんなにテニス強かっただなんて・・・
本当に、見事なまでの大逆転。




だったら最初から本気出せば良いのにさ。








その後の俺?






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お願い、聞かないで(しくしく)



































― おまけ ―

、昨日はどうだった?」

「んー―――。美味しかったで?ご馳走様って感じやな。」

「ああ、人参だからね(くす)」

「うん、私人参は生で食べられるしな。」

すっかりやる気ゼロモードに戻ったで、ほんわか空気の中での会話なのにどこか生々しい二人。





















―――――――――――

あはは、キリリクで書いたけどこの主人公のキャラ好きだな。
ドライ系は結構好き。
ずっとリクの内容は決めていたので(書かなかっただけ)凄い早さで書き上げました。
・・・・・・・・・・・1時間もかからなかった・・・かな。
だったら早くかけってかんじなんですけど。汗。
遅くなってすみませんでした。
そしてキリ番ゲットおめでとうございます!!!!!

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