― 私の存在理由 ―
時々思うことがある.
私はここにいて良いのだとか、
私は生きていて良いのだとか、
陽炎のような漠然とした不安が
じわじわと広がるように沸きあがる
なんの取り柄も無い私は。何も出来ない私は。
あの時
大切な人を救えなかった私は
もういらないの。もう必要無いモノ。
一度使ったらいらなくなったレシートのように
くしゃくしゃに丸められて
そして、ゴミ箱に捨てられて
他の“いらなくなったモノ達”と共に最期を迎える事。
それが末路なのかと、時々考えてしまう。
そうやって意識を飛ばすと、必ず貴方に怒られる。
「自分の存在価値は、自分で決めるもんやない。
周りにいる人間が決めることや。」
その、言葉を
私は未だ鮮明に覚えている。
「お前は黙って俺の側で笑ってればええんや。」
その、強い瞳を
私は未だ鮮明に覚えている。
貴方はいつも他人にも自分にも厳しくて
弱い私はいつも傷ついてしまうけど
けれど、それを包むだけの優しさを
彼は、持っている。
ふ・・・・と淡く微笑んで
幸せ気に私の髪を鋤いて撫でる時
貴方はとても楽しそうで
そんな時、
私はここにいて良いのだと思える。
何も無い私。
必要でないと思っていたあの頃。
きっと私一人が信でも誰も泣かないし。
第一悲しんでくれる人がいるのさえ分からなくて。
それこそ、頬に滴れる涙が
赤い涙へと変ってしまうのではないかと
自分はもう人間ではないのかもしれないと。
本気で思ったあの頃。
そんな私の手を掴んで、そんな私の手を引いて、
路を照らしてくれた人。
私は何が出来るだろうか。
私を必要だと言ってくれたあの人に
私は何が出来る?
「何か、したいなァ。」
ポツリ。と、呟いた言葉を聞いて侑士は目を丸くした。
「何を。」
「何か。」
緩やかに流れる沈黙。
角張った頼れる指に、私の指を絡ませたまま、
私は貴方の瞳を見た。
最初は見つめる事ができなかったその強い瞳を
私は、今、見据えている。
「侑士は私に沢山のモノをくれたけど、私は何もあげてない。」
「別に、見返りなんて期待してへんよ。」
ふっ・・・・・と、貴方は笑った。
何も利用価値が無いのに、
どうして側に置いているのか。
それが良くわからない。
“ただそこにいれば良い”
そんな事で、良いの?
以前聞いたら“それでえぇんや”と侑士は言って。
私の頬にキスを贈った。
あんなに自分を蔑んでいた時の自分が嘘みたいで、
今も時々思い出すけど
それよりも幸せのほうが強いから。
温かい気持ち。
まるで溶けたチョコレートみたいな気持ちを
貴方が作ってきてくれるから
だから私は
今日も生きていこうと思うのだ。
先の見えないこの社会にもまれて。
自分を見失ってしまいそうになるけれど。
必要としてくれる人がいて。
側で私の笑顔を見て微笑んでくれる人がいて。
その事実が、
今の私を造るのだと。
いらなくなったモノを捨てるゴミ箱
それは人によってソレゾレで。
部屋のゴミを入れるのは、ゴミ箱。
世の中のゴミを入れるのは、ブタ箱。
動物を捨てるゴミ箱は、森。川。道路。
どれもどれも、みんな「ゴミ箱」
溢れかえるゴミを人は色々な所に
捨てる
そこがなにも無い場所でも
ゴミが積もればそこには“ゴミ箱”となる。
でも、もう少し待って。
もしかしたら、ゴミ箱にした場所には
とても大切な物を下敷きにしてしまったかもしれないし
土の中で眠っていた、ふきのとうがうんうん唸ってるかもしれない。
いらなくなったレシートはリサイクルに出せば良いし。
もしかしたらゴミ箱にも
まだ使えるものや
本当は捨てたくなかったものとか
あるかもしれない。
そんな事を、思うから。
だから私は時々
貴方と手をつないで散歩に出かける。
ちりばめられたゴミをみて、そして思う。
“貴方たちにも、貴女達にも、こうやって手を繋いでくれる人がいたら良いのに、ね。”
とか、思ってしまう。
今は、私の笑顔を望んでくれる人がいて。
それを喜んでくれる人がいて。
だから今日も私は笑う事が出来る。
今日もまた、自分の存在価値を見出せるのだ。
―― 後書き ――
詩的口調で書いてみました。
色々と自分の中で渦巻いている思い。
それを詩にのせて。
そしてそれがドリ夢となりました。
いつもいつも彼女とすれ違ってばかりのオッシーですが
今回は甘いなァ。
詩なので甘いのかどうか分からないし。
台詞だって少なすぎだし。
超だめだめですけど
私は、詩的口調大好き人間なので満足でしたvv(お前が満足してどうする)
トップに戻りますか?